キヤノンVIL




 ライカM3ショックにしばらく静観のコメントをしていたキヤノンは従来型スクリューマウントライカの構造を引き継いだキヤノンIVSbからVTそして普及機のL1、L2と矢継ぎ早に次々とレンジファインダーカメラを発売してようやく1958年にライカM3と同様の1軸不回転シャッターダイヤル、ダイヤル連動露出計、ブライトフレームファインダーを搭載した本命打倒ライカ、VI型を発売します。
 VI型はフィルム巻き上げレバーが上にあるVILとボディ底面にトリガーレバーが生えたVITが同時発売されましたが、どうやらVITは三脚に載せているとトリガーが使えないとか、フィルム巻き上げするときにレンズから手が離れてしまうのでピントがおざなりになるとか、撮影会のときにでっぱったトリガーが前列の人の頭に突き刺さる事故が多発したなどの苦情が殺到したらしく、キヤノンはこのVIシリーズを最後にこのトリガーレバー方式をやめてしまいます。
 また、倍率可変光学系を採用したのもこのVI型が最後で、この後のP型7型では倍率は固定になりました。いろいろな意味でキヤノンはレンジファインダーカメラに対する方向性をこの機種を最後に転換することになる重要な機種であったと言えます。
 キヤノンはこの手間隙のかかる贅沢なカメラを2年で葬り去り、翌年のキヤノンPより倍率可変ファインダーやトリガーレバーを廃し、価格を下げる方向に進みます。すでに時代は一眼レフへと移行しており、レンジファインダーは広角専用の普及機としての位置付けになりつつありました。


↑これはキヤノン関連の文献であまり書かれているのを見た事がありません
が、左が前期型。右が後期型です。違いがわかりますか?
↑はい、ウラブタを見ると一目瞭然!!前期型はメモダイヤルが無塗装です
が、後期型はキヤノンPのウラブタと共通パーツになったのでモノクロ、カラー
(デイライト)、カラー(タングステン)の3色塗り分けになっています。
知ってましたか?カラーフィルムが普及し始めた頃だったのでしょう。
感度が最高200までというのが時代を感じさせます。この当時のコダック
トライXはまだ感度がASA200だったんですね〜〜。


分類:35ミリ距離計連動式フォーカルプレーンシャッターカメラ
シャッター:1軸ダイヤル不回転式横走りステンレス幕フォーカルプレーンシャッター
B、1−1/1000秒(Xシンクロ1/60秒以下)
ファインダー:アルバダ式ブライトフレーム内蔵2重像合致式連動距離計
ファインダー倍率:倍率可変(0.65倍、等倍、1.55倍の3段切り替え)
0.65倍時には全視野が35ミリ対応
、等倍時には50ミリ、100ミリブライトフレーム内蔵
でパララックス自動補正
1.55倍時はマグニファイヤー専用
発売年:1958年



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