コニカヘキサーRF





 1999年に発売されたレンジファインダーファン待望の新型機種でしたが、発売直後の怒涛のデジタル化によりさっぱり売れずに2005年に生産停止になってしまった悲劇の名機です。おまけに生産停止アナウンスの3ヵ月後にメーカーのコニカミノルタホールディングスが写真事業から撤退してしまい、名実共に「20世紀の産業遺産」となってしまいました。実質的に「Konica」の独立ブランドがつけられた最後のカメラであり、老舗として有終の美を飾りました。ライカファンが数十年間の間渇望していた機能(モータードライブ、自動露出、1/2000秒、1/4000秒シャッター)を全て内蔵してしまったマニアの妄想がそのまま形になった夢のカメラだったのですが。おそらくここまで積極的に電子化した銀塩レンジファインダーカメラは未来永劫現れないでしょう。
 実は当方、このカメラが発売される3年も前に日本カメラショー(現フォトエキスポ)で当時のコニカブースでコニカヘキサーのヘキサノン35ミリF2レンズの描写性能を褒めちぎり、「シャッター速度が最高1/250秒のヘキサーでは空飛ぶタンチョウの羽根が止まりません!このレンズを装着すべくフォーカルプレーンシャッターで最低限1/1000秒が切れるレンズ交換式のレンジファインダーカメラを発売して欲しい。コニカプラザに展示されているコニカFRを今からでも限定発売してもらえないでしょうか?」とリクエストした事があります。ブースに詰めていたお兄さん&お姉さんは「35ミリレンズでタンチョウを?」と目を白黒させておりました。
 当時すでに安原一式のウワサは流れていたのでクラシックカメラの復刻版でも実現したらあり難いという気持ちだったのですが、希望を遥かに上回る近代化したスペックでコニカヘキサーRFとして発表された時には感動の涙を流しました。
 発売前にコニカの営業マンが持ってきたパンフレットを「今この場で予約するからそのパンフレット下さい!」と強引に奪い取ったのも若気の至りでしょうか。
 自分の人生の中で発売前のカメラにこれだけ心躍らせたことはそれ以前もそれ以降現在に至るまでも経験がありません。
 このカメラのウワサを聞いたとたんに予約注文し、3ヶ月待たされました。
 また生産停止のアナウンスを聞いて慌てて最終ロットも注文しました。つまり最初期ロットと最終ロットの2台を所有しております。最初期ロットは右側、最終ロットが左側です。見ての通り後期ロットはレンズ取り外しボタンの周りに囲いがつきました。
 使い勝手は「かゆい所に手が届く」カメラですね。買った直後からまるで10年間使い慣れているカメラのように自然に手が動きます。
 これ1台で全てこなそうと機能を詰め込んだため大きく重たい重装備カメラになってしまったという見方もありますが、28ミリから135ミリまで全てのフレームを内蔵したおかげで超広角(15ミリや21ミリなど)以外はカメラ本体だけでまかなえるのはありがたいし、賛否両論のモータードライブ内蔵も動物写真には必須で「よくやってくれた!」と賞賛します。「自動巻きはいらないしファインダーもここまで凝らなくていいからミノルタCLEくらい小さくして欲しい」という方は同時期に発売されたフォクトレンダーベッサRシリースという選択肢もありますし。
 誉め言葉は聞き飽きているでしょうからここではあえて苦言を書きます。
@、まずはホットシューの板バネがすぐ外れること。すでにいままで2回外れました。これは接着剤が弱いのか?。私は外付けファインダーをよく使うのでこれは困り者です。
A、距離計がよく狂う。レンジファインダーの宿命とはいえいままで3回調整に出しました。キヤノン7などは精密ドライバーで自分で調整できますがコニカヘキサーRFは精密な実像式距離計なのでメーカー調整に出さねばならない。このたびにカメラが手元から離れるのがつらいです。
B、ファインダー倍率が低い。広角の28ミリや、35ミリを使用するときはこの倍率は快適なのですが、50ミリでは「ちょっと小さいかな?」と感じます。ましてや「レンズインフェルノ」でも記述した通り100ミリや135ミリでのピント精度がかなり不足します。実用限度は85ミリF2までか?。別に往年のキヤノンみたいに倍率可変光学系を内蔵しろとは言いませんが、ライカみたいな外付け式マグニファイヤーを用意して欲しかったです。

 と、まあいろいろ書きましたが現在もっとも気に入っているカメラです。今や一眼レフよりも出番が多いくらい。50ミリ以下の撮影は殆ど全てこの1台でまかないます。もう一眼レフに広角レンズなんて着ける気にならないくらいです。個人的には前時代的なライカM6よりもお気に入りです。
 さすがに9年間の酷使で液晶パネルやファインダー窓や採光窓などありとあらゆる窓がグラついてガタガタ言うようになりましたが修理不能になるまでは修理して使うつもりです。
 コニカさまに敬意を評して長年コニカフィルムの登録商標の「さくら」こと間桐桐桜ちゃんに並んでもらいました。料理上手で巨乳(笑)でよく出来た性格。こーゆー女性が彼女だといいな〜(ワタシには縁がありません)。


分類:35ミリ距離計連動式フォーカルプレーンシャッターカメラ
シャッター:電子制御式縦走りメタルフォーカルプレーンシャッター
B、1−1/4000秒(Xシンクロ1/125秒以下)
測光:フィルム幕面測光式TTL中央部分測光
電池:CR2リチウム2本
ファインダー:採光式ブライトフレーム内蔵実像式2重像合致式連動距離計
ファインダー倍率:0.6倍ファインダーフレームは28ミリと90ミリ/35ミリと135ミリ/
50ミリと75ミリの3段階自動切換え。パララックス自動補正
フィルム給装:内蔵モータードライブ、1コマ、連射(2.5コマ/秒)
レンズ:コニカKMマウント(ライカMマウント互換)
発売年:1999年




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