ペンタックスK−7試用速報!!!

2010年1月某日、ペンタックスが社運を賭けたデジタル一眼レフ「ペンタックスK-7」(写真1)をようやく購入できましたので、遅ればせながら今更速報(速報じゃないやろ!)致します。
↑(写真1)念願のペンタックスK-7。レンズは何故かSMCペンタックスMマクロ50ミリF4。
後ろに鎮座しますはペンタックスLXチタン。
ペンタックスでは1980年のペンタックスLX以降モータードライブの連写速度が5コマ/秒を超える機種を出していない。
私はどちらかというと一発必写を好む方ですが、目にも止まらぬ速さで舞を舞うタンチョウ(テレビの動物番組で流されるタンチョウの舞はほぼ必ずスローモーションかけています。テレビ放送でダマされて初めて釧路にタンチョウ撮りに来たカメラマンはまず、その動きの速さにびっくりします。)の撮影をするにはやはりどうしても高速連写機能が必須で、それも最低限5コマ/秒くらいの速度が欲しいです。
35ミリAF一眼レフ時代の最高峰はZ−1PおよびZ-5の4コマ/秒。フィルムカメラ時代最後の高級機だったMZ-Sに至ってはMZ-3と大差のない2・8コマ/秒で、Z-1Pの後続機と期待していた吾輩は大いに落胆させていただきました(よってMZ-Sは購入しなかったです)。まあ連写速度で役不足というのならデジ一眼レフのペンタックス*ist-DsK-10Dも十分役不足(失礼)ですが......
フィルムカメラ時代はとうとうLXを超える連写速度のカメラを出さなかったペンタックス。このままLXは後継者無き孤高の銘機として朽ち果てていくのかと諦めかけていたところでようやく昨年発売されたこのK-7。連写速度は歴代ペンタックス最速の5.2コマ/秒!!
しかもファインダー視野率はLX97%を上回る念願の100%を達成!!

「やっと、29年かけてやっとLXを超えるカメラを出してくれた....もぉ待ちくたびれたよ....」

というわけで、待ちくたびれすぎて白髪が生えてしまいましたが、やっと老兵LXを引退させてあげられる後続機が現れた訳で期待のK−7!こき使って差し上げます!!

↑(写真2)歴代ペンタックス
デジタル一眼大きさ比較。
上から順にK-7(2009年)
K-10D(2006年)
*ist-Ds(2004年)
機材購入のローテーションが
よくわかる(笑)。
何故下取りに出さないんだ?
↑(写真3)
ひたすらシンプルな*ist-Ds(右)の十字キーに比べて全てのボタン類に
独立した別機能を持たせたK-7(左)は超複雑怪奇。
それだけ選択するアイコンが増えているというコトか。
やはり十字キーはカーソル移動の機能に徹してくれた方がわかりやすい
です。

註)画像は断じてハメコミ合成ではありません。
「ゼットカメラ」さんで箱を受け取るとズッシリと重い!!そう、これまた意外ですがAF35ミリ一眼時代にはペンタックスさんは金属ボディの一眼レフはMZ-Sしか出さなかったので9年ぶりの全金属ボディ機です。
K-10Dになって「ペンタックスのカメラにしてはちょっとでかいな?」と思っていたら、やはりユーザーからの反応にも「もうすこし小さくして欲しい」という要望が多かったといい、今回のK-7では再びシェイプアップしています。
かつてフィルムカメラ時代にもAFになったSFX〜Zシリーズで大型化した反省からMZシリーズでは一挙にダウンサイジングした歴史があります。またリバウンドしないことを祈る(笑)。
↑(写真4)
歴代35ミリペンタックスでは最小
を誇ったMシリーズ(ここでは早見優
ペンタックスMG)との比較。
↑(写真5)
こうやって縦にすると横幅はMGと
同じであることがわかります。
よくぞ頑張った!!
↑(写真6)
さすがにバッテリーグリップを装着
した状態ではワインダー付のMGよ
りかなり大きくなります。
↑(写真7)
バッテリーグリップを装着したK-7と
LXを並べてみたら見事に同じ高さ。
モードラ付のLXは連写速度や耐寒
性能だけではなく大きさでもベンチ
マークになっていたようです。
↑(写真8)
旧世代のスクリューマウント機と
並べてみたら軍艦部の高さでは
K-7の方が低いくらいです。
ちなみに左の機種は世界初の絞り
優先AE一眼レフ「ペンタックスES」
ちょっとイジワルしてフィルム時代(それもオートフォーカスになる前のMF時代)のMGやLXと並べて大きさ比較してみましたが、単体ではMシリーズに近いダウンサイジングでバッテリーグリップを装着してもLXのモードラ付きと同じ高さです。連写速度、耐寒性能、ファインダー視野率といった基本性能だけではなく、外観、大きさ、重さもLXが基準であったことがわかります。カタログでもLXの事ををやけに強調していますし。
LX発売からすでに30年が経過し、設計する技術陣も3世代ほどは入れ替わっているでしょうが、現代の若きエンジニア達にとっても30年前の先輩たちが残したLXは今なお越えるべき目標(ベンチマーク)なのでしょう。
やっぱりLXは名機だった。


さて実際に操作して見ると「あれ?」
istシリーズやK-2ケタ〜3ケタシリーズ(写真2)とは明らかに異なるインターフェースに最初けっこうとまどいました。液晶モニターの大型化に伴い、再生/ゴミ箱ボタンが上に移動したのは慣れの問題ですが、デジカメでは「おやくそく」の十字キーの役目は今までのペンタックス一眼レフでは単なるカーソル移動だけだったのですが、このK-7では、上が「セルフタイマー」、右が「色調制御」下が「ストロボ制御」左が「ホワイトバランス制御」と独自の役割を持たせたせいで(写真3)、一から操作を覚えなおすハメになりました。
特にK-10Dでは独立していた手ブレ補正(SR)on/offスイッチがK-7ではMENUボタンで呼び出さなければならなくなったのはイタい。焦点距離情報がないMFレンズを多用する私には使いにくいです。
 三脚にカメラを載せた際には手ぶれ補正はoffがデフォルトというのがデジカメ入門書の教えですので、ボディ側のSRはもっと瞬時に切り替えられるようにして欲しかったです。十字キーに複数の機能を持たせた割にはボタンの数やモニター上のアイコンの数が減った訳でもないですし(逆に増えている)、やっぱりデジカメの十字キーはパソコンにおけるカーソルのように単機能に徹してくれたほうが使いやすいです。
外観は、K2ケタシリーズと比べて驚くほど小型化した訳でもないですが(K2ケタシリーズも曲面を多用したデザインのせいで実際以上にファットな外観ですが、実はそれほど大きくも重くもない)、それでも横幅で1センチくらい短縮しております。また、ペンタプリズム部やグリップ部の絞りを深く掘ったおかげで体積の削減に貢献しており、横幅や高さの差以上に引き締まった感じを与えます。
それにやっぱり手にした際の、マグネシウム合金製のがっちりしたボディは剛性感に満ちており、いかにも頑丈そうな印象を与えてくれます。
↑(写真9)
ペンタックスLXのFA-1ファインダー
をモチーフにしたというK-7のペンタ
部。よくぞストロボ内蔵でこのサイズ
にまとめたものです。
↑(写真10)
誰もがペンタックスLXのカタログ
を読んで感動するけど買っても
絶対使わないアクセサリーの
最右翼(爆)。交換ファインダー
システム。わたしもいまだかつて
役に立ったためしがない(核爆)
↑(写真11)
期待のライブビューモニター。
ライブビュー専用のオリンパスペン
E-P1に比べると明らかにレスポンス
が悪い!動く被写体には使えない。
動画撮影ならば問題ないけど。

ペンタプリズム部のソリッドなデザインはかつてのLXをホーフツとさせると思っていたら、やはりペンタックスさんも「LXのFA−1ファインダーをモチーフにした」と公言されております(写真9)。
「でしたらペンタプリズム部は取り外し式にしてアクションデュアルファインダーやアイレベルファインダーも用意してくれ」などという無理難題は言いません。ライブビューファインダーが当たり前に可能になった今日ではそんな機能はもはや無意味ですから(写真10)。
というか、LXやニコンF3やキヤノンF−1の交換ファインダーを全部集めた人って、どれほどいるんだろう??(←自分で言うか?)
ただ、このライブビューモニターはライブビュー専用機のオリンパスペンE-P1に比べても明らかに反応が遅い。カメラをパンしたら1秒後に画像が動くというほど遅い!(写真11)
静物写真には使えても昆虫など動く被写体のローアングル撮影には残念ながら使えないですね。

ちなみに私が個人的に注目していたのは外付けのバッテリーグリップ「D-BG4」。
前回、生意気にもK−10Dのレポートの際に「外付けバッテリーグリップにも本体と同じバッテリーを入れるだけではあまり意味が無いのでは?」と書いたら、どうやらペンタックさんの技術陣の皆様が当サイトを読んで下さったのかどうか、今回のK−7で本当に単3電池が使えるようになりました。んが、ウキウキしながらエネループの単3電池を入れてみて凍り付く....「ん?」

↑(写真11)
バッテリーグリップの単三電池
パレットを使用した場合。
中央には上下互い違いに2本ずつ。
左右に1本ずつ。計6本と中途半端
な数。
↑(写真12)
バッテリーグリップに専用リチウム
イオン電池D-LI90用パレットを
使用した場合、格段に軽量化します
細かな所ですがバッテリーグリップを
装着した場合に置き場に困る電極
カバーを収納する穴が開いたのは
細かな気配りが効いています。
↑(写真13)
愛用の三洋エネループ単三電池。
一度に充電できるのは4本まで。
ただし、両脇に2本のみ装填した
場合は高速充電モードになり半分
の時間で充電できます。

「こ、これ単3電池6本も入れるんですか〜〜!!」(写真11)
(註釈:ペンタックススーパーA用のモータードライブAは単三電池8本。モータドライブLX、モータードライブMX、及びペンタックスK-2DMD用のバッテリーグリップMに至っては単三電池を12本も使用するので別に驚くような本数ではない。)

エネループの充電器が一度に充電できる電池の数は4本まで(写真13)。6本となると、充電ローテーションを考えると12本用意しなければならないが、充電に最初に4本、次に2本なので15倍の時間がかかる(2本の場合は急速充電が可能なので半分の時間で充電できる)。

う〜〜ん、連写速度を考えればワガママは言えませんが、単3電池4本に削減できませんでしたか?

ちなみにバッテリーパレットは2種類用意されておりまして、単3電池の使用が上述の通り面倒だと思われるのならK−10Dの時と同様、ボディ側と同じ専用リチウムイオン充電池D-LI90を入れる事もできます(写真12)。
専用充電器が必要なので汎用性に欠けるのですが、圧倒的に単三電池より軽量で充電時間も短いので荷物を減らしたい、充電時間が限られる旅写真ではやはり専用リチウムイオン電池を2つ用意したほうが楽ですね。

前作のK-10Dでは単三電池の採用をしなかったのにはそれなりの理由があった訳です。事情も知らずに因縁つけて申し訳ありませんでしたm(; _ ;)m。

とは言えこのD-LI90K-10D用のD-LI50とは互換性は無く、K-10DK-7を一緒に使うには別々のバッテリーと充電器を持ち歩くハメになります。この電池地獄、なんとかならんか??
*ist-Dsと一緒に使うのならばバッテリーを全てエネループの単三に統一できて充電器も1種類で済むのに。

まあ、吾輩のわがままにペンタックスの技術陣さまが応えてくれたので、催促した立場としてはバッテリーグリップを購入しないワケにはいかず、エネループも急遽12本(計4.500円也)買い足しました。あと、SDカードは高速連写and動画撮影機種なのでケチらず高速書き込みのカードを奮発することを熱烈に推奨します。
さて、ダラダラと第一印象ばかり並べましたが、肝心の撮影能力はどのようなモンでしょうか?
次は試写速報と行きましょう。


                                               (2010/02/17Up)

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