ペンタックスK-10Dグランプリパッケージ試用速報!


ペンタックスさんが2007年に、実に9年ぶりのカメラグランプリを受賞(前回は1998年のペンタックス645N)し、7月に受賞記念ボディ「グランプリパッケージ」が限定5000台で発売されました。
筆者もその1台を所有する幸運に恵まれたので、早速インプレッションといきます。

筆者にとってペンタックスの*ist-Dsに続き2台目の本格デジタル一眼レフです。この機種を導入するに至り今後のタンチョウ撮影現場の主力は確実に銀塩からデジタルへと移行する事でしょう。
*ist-Dsの項でも述べましたが、筆者の「良いカメラ」の基準は「タンチョウが撮れるかどうか」です。タンチョウが撮れさえすれば良いカメラという暴論の元に、さっそく夏のタンチョウ撮影に望みました。
作例1)ペンタックスK-10Dグランプリパッケージ
FA☆250-600ミリF5.6ED(IF)手持ち撮影
F5.6、1/160秒、ISO100、WB太陽光
(Jpeg 10Mで撮影後0.3Mに圧縮)
時節柄、夏のタンチョウはあまり激しく舞ったり飛んだりしないのでAFのスピードを堪能するまでにはいきませんでしたが、1000万画素の高画質の片鱗を体験する事と、期待の「手ぶれ補正(SR=Shake Reduction)」の効果を身を持って知る事はできました(作例1)。
上の作例は橋の上から撮影した夕刻のタンチョウさんですが、アングルをできるだけ下げるため三脚からレンズを降ろし、橋の上に腹ばいになってレンズを手持ちで撮影したものです。
レンズの焦点距離から考えると、かなり冒険でしたが、見事にブレは補正してくれました。
作例2)ペンタックスK-10Dグランプリパッケージ、トキナーATX80-200mmF2.8
F16、1/60秒、ISO100、WB太陽光、JPEG10Mで撮影後0.3圧縮
1ページ目からいきなり批判するのも気が引けるのですが、もう一つの期待の機能「ゴミ除去(DR=Dust Removal)は期待が大きかっただけに大いに失望させられました(爆)。
土ホコリが舞う原生花園の茂みの中に隠れて、ブヨやヤブカが血を吸い、アブが皮膚を食いちぎって行く中(ソーゼツですな.....)ヒナを連れたタンチョウをストーキング(暗い......)しながらレンズ交換をしたら見ての通り一発でホコリが入りました(作例2)。手動でDR機能を何度も作動してもホコリが取れず、結局クルマに戻ってブロワーのお世話になりました。
 考えてみるに、*ist-Dsを3年間使っていて、これだけ盛大なゴミにめぐり合った事ありません。
*ist-Dsを使う際には「このカメラにはゴミ除去機能が無いのだからレンズ交換は細心の注意が必要だ」とあらかじめ用心して、ホコリの少ない室内やクルマの中で、カメラボディを下向けにしながら交換するよう心がけていたし、屋外では極力1本のレンズを装着しっぱなしにしていました。カメラバッグにしまう時もボディキャップは絶対に使わず標準レンズを装着したままにしていました。
 今回のK-10DではDRの機能を過信したせいで、逆に油断が生じてゴミを画面内に入れてしまったというアイロニー(皮肉)!。
20年位前、オートマチックトランスミッション車の暴走事故が社会問題になった事がありましたが、わずらわしいクラッチ操作や
変速操作のミスを防ぐための自動化がかえって人間の油断を招き事故が増えてしまったという1例です。
どうやらこの機種のゴミ除去機能も「無いよりはあった方がマシ」どころか「信用せずにこまめにブロワーで掃除をする!」「ボディキャップは絶対に使わない!」くらいの心構えでいたほうがよろしいようです。
このwebサイトを読まれたペンタックスさんの設計陣の方々、撮影環境が苛酷だというのは承知の上で、改善を期待します。



あと、せっかくグランプリパッケージで購入しておきながら今ひとつ使い道が分からないのがバッテリーグリップの存在。
ニコンF4(写真1)やキヤノンEOS-1Vのように重たいバッテリーグリップを装着したら連写速度が上がるとか、ペンタックスMZ−3(写真3)のように高価なリチウム電池の替わりに安価な単3電池を使用できてカメラのスペックに変化はないけど電池代がお得になるというのならわかりますが、K-10Dの場合、バッテリーグリップにもボディ本体と同じ電池を入れるんです。で、大きく重くなってもカメラのスペックは同じ。カメラ側、またはグリップ側の電池が上がってもシームレスに予備電池に切り替わりますというだけ。
↑写真1)ニコンF4S(1988年)の
バッテリーグリップ。
標準装備ではボディ内に単3電池4本を装填し、
連写速度は4コマ/秒ですが、F4Sではボディ側に単3電池3本、ボディ下部に3本の計6本を収め5.7コマ/秒にパワーアップします。
とてもわかりやすい「ブースター」機能です。
↑写真2)ニコンF90X(1994年)の
バッテリーグリップ。
これはボディに装填する4本の単3電池を下部バッテリーグリップに入れ替えるだけで、電源の種類も容量もカメラのスペックもまったく変化しません。ただ、縦位置レリーズが追加します。
純粋な縦位置グリップです。
↑写真3)ペンタックスMZ-3(1997年)の
バッテリーグリップ
MZ-3を動かすには少々容量不足のリチウム電池
CR1/3に替わって大容量で安価な単3電池4本をボディ下部に納めます。ただし縦位置レリーズは無いのでこれは純粋な電源アダプターです。

まあ、電源の種類も容量も変わらないニコンF90X(写真2)のバッテリーグリップよりは容量が増えるだけマシですけど、ただの予備電池収納庫にしてはおおげさすぎやしませんか?
当方は、寒冷地での撮影が多いのですが、氷点下10度〜20度にまで冷え込む冬期間のタンチョウ撮影を考えると予備電池を氷点下の屋外にさらして冷やしてしまうより、ボディ側の電池がダウンしてしまうまでポケットにでも入れて保温していた方がいいと思う。
もちろんバッテリーグリップに電池を入れなくても縦位置レリーズは使えるのでがらんどうのまま縦位置グリップとして使用できます。
私は手が小さいのであまり縦位置グリップの必然性は感じないのですが、まああってもジャマにならない人はどうぞという程度ですね。
↑グランプリパッケージに同梱のバッテリーグリップ
と言ってもボディ側と同じ専用リチウムイオン電池
D-L150を「予備電池」としてもう1個下部に納める
だけ。単なる予備電池収納庫には大げさ。
↑カメラ側とバッテリーグリップ側、どちらの電池を
優先的に使うか、カスタムファンクションで設定
できます。戦闘機の燃料タンクみたいですね〜〜
気分は戦闘妖精雪風。ちょっとSF気分。

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