いまやボディのキヤノンIVSbとともに伝説となっているレンズです。後に名機キヤノンF1(初代)を手がけた伊藤宏氏による設計。当時としては画期的なコマ収差を補正した「絞り開放から安心して使える」レンズとしてキヤノンの社史には必ず登場します。
発売はライカのズミクロン50ミリF2の前年ですからこの時代のキヤノンのレンズ技術はすでにライカに肉薄していたのではないでしょうか。ライカに装着する人も多かったと聞きます。
実際に使ってみると小柄な外観の割には真鍮製の鏡胴のためずっしりと重いです。画質は、シャープネスではF1.4に一歩譲るもののボケ味の軟らかさでは歴代のキヤノン50ミリの中では最高だと思います。
発色は現在の基準から言うとかなりあっさりでちょっぴり鮮やかさに欠けますがカラーバランスは良好です。もっとも私はもっぱらモノクロ専用に使っていますが。
このレンズはIVSbの時代に大量生産されていたので中古市場では豊富な在庫があります。ライカ純正のエルマーが高くて手が出せないという人にはこのレンズをライカに付けてみてはいかがでしょう。あながちマッチングも悪くないですよ。
(←作例)月刊カメラマン1993年7月号月例佳作
「ETUDE」
データ:キヤノンIVSb改
セレナー50ミリF1.8
F2.8、1/125秒
トライX
(↑構成図)4群6枚
ガウスタイプ
画角:45度
最小絞りF16
最短撮影距離3.5フィート
フィルター:40mm
重さ:275g
発売:1952年