撮影後にカラーかモノクロか選択できてある程度露出も色バランスもパソコンでいじれるとなると露出は「とりあえず適正であればいい」と意図的にオーバーやアンダーにマニュアル設定する事がほとんど無くなります。「後処理では取り返しがつかないピントと構図さえ気を配ればあとはどうでもいい」とどんどんズボラになっていくのが自分でも分かりました。また失敗カットは次々と消せばいい。フィルムと違って失敗写真に現像代を払わなくていいとなると撮影自体も「下手な鉄砲の数打ち」になってしまい、何も考えずただ被写体にレンズを向けてレリーズを押しっぱなしにしている自分がいました。こりゃいかん!
これだけデジタルカメラの価格がこなれてくると今後「最初に触った一眼レフがデジタル」というユーザーも確実に増えていくでしょう。このような時代に露出の基本、シャッター速度と絞りの関係を初心者に理解してもらうのは至難の業に感じました。
コンパクトデジカメはともかく一眼レフのデジタルカメラを初心者が持つと写真の基本が身に付かないのではないでしょうか。別に写真を趣味にするつもりはない。綺麗に写ればそれでいいというユーザーにはそれでいいかもしれませんが、写真の基本を一から学ぶには最初はやっぱりフィルムカメラ。それもペンタックスMZ−3とかニコンFM−3Aのようなシャッター速度と絞りの操作が表に見えるカメラで勉強してからの方がいいのではないかと余計な心配をした次第です。
じゃあそういう人は自動露出、オートフォーカスを殺して完全マニュアルで撮影してみては?
|
↑いすとでっすにSMCペンタックスM50ミリF1.4を装着した状態。なかなか良いカンジ。絞り込みレバーを押しながら親指でAEロックボタンを押すと適正露出に。 |
という訳で、このサイトに訪問されるくらいの方でしたら大なり小なり気になるであろう旧型レンズを装着しての撮影結果をご披露します。とりあえずAF未対応の旧KマウントレンズはトキナーSL17ミリF4.5からSMCペンタックスM50ミリF1.4、SMCペンタックスA35−105ミリF3.5−4.5等手当たり次第試しましたがここではSMCペンタックスM200ミリF4の作例を掲載します。
|
作例5)ペンタックス*ist-Ds、SMCペンタックスM200ミリF4、F4、1/180秒、WBオート JPEG6Mで撮影後0.3Mまで圧縮した画像が左。6Mの切り取り拡大映像が右。 |
元々望遠レンズは像側テレセントリック性が高いのでデジタル適性が良いのは当然なのですが、それにしても30年前の設計のレンズでこれだけの写りが得られるとは正直驚きました。EDガラスでなくてもいいじゃないかと思うくらいです。
基本的にいすとでっすは工場出荷時の状態ではペンタックスAレンズ、Fレンズといったプログラム自動露出対応のレンズを装着しなければまったく作動しません。まずはカスタムファンクションでレンズを外した状態でもシャッターが作動するように設定しなおします。ついでにスクリューマウントレンズ装着時にもフォーカス表示が出るようにした方がいいでしょう。
プログラム非対応のKマウントレンズは絞り優先AEでは絞りが開放のまま動きませんから反射望遠レンズや手動絞り(中判用レンズやスクリューマウントレンズ、古いソフトフォーカスレンズなど)のレンズでなければ絞り優先AEは使えません。必ずマニュアル露出に設定します。
露出のあわせ方はそのまんま40年前のペンタックスSPになってしまいます。電源レバーを兼ねたプレビュー(絞り込み)レバーを押しながらAEロックボタンを押すと、絞り込み測光で得られた適正シャッター速度が自動設定されます。何か瞬間絞り込み測光の名機コシナハイライトECをホーフツとさせる原始的なスペック。
ペンタックスSPのように絞り込んだ暗いファインダーの中で露出計の針を見ながらシャッター速度を設定する必要は無いので、不便ながらも親切な設計です。とはいえ、最初っから絞りリングを残してくれればこんな面倒な事しなくて済むんだ。
露出のみならず動体予測オートフォーカスがピクチャーセレクトの動体モードでしか作動しないという割り切り方事から見ても、このカメラはあくまでもフルオートでの使用が前提であることはわかりますが、専用レンズを装着した場合でも電子ダイヤルが一つしかない恨みでマニュアル露出で絞りを動かすにはAVボタンを押しながら電子ダイヤルを回さねばならず決して使いやすくは無いです(この辺は旬を過ぎたとはいえ先行のいすとでーは電子ダイヤルが2箇所、シングル・コンティニュアスAFの選択可能と基本はしっかり押さえていて上級機種の面目を保っています)。マニュアル設定が使いにくいから尚更の事プログラムAEばかり使ってしまうのもあるんです。
最後にお約束のオチではありますがメーカーさんへ一言
「ペンタックスさーん、やっぱ絞りリング残して欲しいですぅ〜!」