キヤノン100ミリF3.5(Lマウント)

 いまや押しも押されぬ往年の名レンズです。セレナー50ミリF1.8とともにキヤノンの社史には必ず登場するレンズです。設計はセレナー50ミリF1.8と同じ伊藤宏氏。
 伊藤氏はこのレンズの話になると必ず「軽量化」を強調します。とにかく軽く気軽に持ち歩いてもらうため各レンズエレメントを当時の技術で研磨できる限界の薄さにまで削り、全長を縮めるためにこのクラスでは珍しいテレフォト構成をとっています。
 そのすばらしい画質とコンパクトさから一眼レフのスーパーキヤノマチックRレンズ、FLレンズの時代になっても同じレンズ構成のまま一眼レフ用に発売されていました。FDレンズの時代になると100ミリF2.8とバトンタッチして生産停止されるまで16年間ものロングセラーでした。
 と、ここまで絶賛されるレンズなのですが、どうも筆者にはピンと来ない。ピントはまあまあ良いのですがコントラストが低くフレアが多く全然色が出ない。まあ1万5千円で安く買い叩いただけあってカビが生えていたレンズをクリーニングした際にコーティングがはがれてしまったというのもあるのですが。作例はあくまでも参考までに見て下さい。
 確かにものすごく軽くて、ピントリングも軽いので望遠レンズとは思えないほど気楽に持ち歩けます。ボディはキヤノンPかVIがおすすめ。ファインダーが等倍なので両目を開けて使いやすいです。両目を開けて望遠を使うのはスナップには最高です。

←作例
キヤノンVIL、F3.5、1/500秒
アグファカラーVISTA100

←構成図、4群5枚
テレフォトタイプ
(エルノスターに似て
いる?)
画角:24度
最小絞りF22
最短撮影距離1m
フィルター:初期型
36ミリ、後期型40ミリ
重さ:初期型190g
後期型:240g(実測)
発売:初期型1953年
後期型(写真)1960年

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